
「賢いボーナスの使い道ってある…?」
今後のため貯金に回したいけど、ローン返済などの使い道があるので貯蓄できるのはごくわずかになってしまう家庭も多いですよね。
ただ、家族や自分のことにも使いたい方もきっと多いでしょう。
一般的なボーナスは月給の2か月〜3か月分程度が多く、中小企業よりも大企業の方が多く支給される傾向にあります。
ボーナスが入ると財布の紐が緩み浪費することがありますが、賢く残して、賢く使えるように事前にボーナスの使い道を決めておくと良いです。
この記事では、一般的なボーナスの使い道、年代や性別に分けたボーナスの使い道、おすすめのボーナスの使い道などをまとめました。
次のボーナス月までに前回のボーナスの一部を残しておくと、急な出費に対応可能です。あらかじめ「ボーナス額・使い道・使う金額」を把握して無駄使いしないようにしていきましょう。
もくじ
1.一般的なボーナスの使い道
ボーナスの使い道は家庭や時期(夏・冬)によって多少異なりますが、主な使い道は次の通りです。
- 貯金(預金)
- ローン返済
- 家電の買い替え
- 旅行費
- 趣味に使う
- 外食費
- 生活費の補てん
- 家族へのプレゼント購入
その中でも最も多かった使い道が「生活費の補てん」で、ボーナス月ではない月の生活費に充てる家庭が多いです。早速、「ボーナスの使い道の調査」のアンケートデータ結果を見ていきましょう。
ボーナスの使い道 | 割合 |
---|---|
1位 生活費の補てん | 69.9% |
2位 貯金、資産形成 | 50.1% |
3位 旅行、レジャー費 | 44.9% |
4位 洋服代、趣味代 | 30.6% |
5位 交際費 (プレゼント購入など) | 30.1% |
6位 ローン返済 | 27.8% |
7位 車、家電、家具の購入 | 25.0% |
8位 子供の教育費 | 23.5% |
9位 外食費(飲み会など) | 20.0% |
10位 お小遣いUP | 18.7% |
11位 美容代 (エステ、美容外科、美容院) | 8.3% |
12位 高額商品の購入 | 2.2% |
13位 その他 | 3.6% |
1位と2位を見ると、過半数以上の方が生活を保守する意識が強い傾向があることがわかります。子供の学費、マイホームや車の資金、病気や怪我などの急な出費に備えて、ボーナスを貯蓄することが必要ですね。
3位〜5位は娯楽費で、夏季休暇と冬季休暇は休みが長いため通常とは異なるお金の使い方をする方が3割〜4割程度いることがわかります。
なお、13位の「その他」では、主に次の用途でボーナスを使っています。
- 定期預金
- 投資信託
- 株投資
- 仮想通貨
- 宝くじを購入
- お小遣いを増やす
- 資格取得費
2.年代・性別のボーナスの使い道
ボーナスの使い道は年代や性別によっても変わります。まずは次の表を見ていきましょう。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20代 | ・貯蓄 ・海外旅行 ・飲み会、会食 ・家電購入 ・洋服購入 | ・ローン返済 (奨学金など) ・洋服、アクセサリー などを購入 ・習い事の費用 (ジムなど) |
30代 | ・子供の講習代 ・家のリフォーム (外装工事) ・スマホの買い替え | ・帰省費 ・ローン返済 (奨学金など) ・エステなどの美容関係 ・生活費に充てる |
40代 | ・ローン返済 (家や車など) ・子供の学費 (大学授業料など) ・将来のため貯蓄 ・車の修理や買い替え | ・冠婚葬祭のために貯蓄 ・ご褒美で外食 ・海外旅行 ・子供の学費 (大学授業料など) ・定期預金、投資信託 |
50代 | ・車の買い替え ・国内旅行 ・保険の見直し | ・自分へのプレゼント ・ご褒美で外食 ・子供の結婚資金の貯蓄 ・定期預金、投資信託 |
60代 | ・ローン返済 (家や車など) ・家電購入 ・車の買い替え | ・国内旅行 ・ご褒美で外食 ・老後生活の貯蓄 |
年代別で判断すると、40代や50代は子供も大きくなっている親世代でもあるため、子供の学費(大学費や講習費)などでボーナスを使う、もしくは貯蓄する家庭が多いですね。
そのため、私物で使うのではなく今後のライフイベントを見据えてお金を残す傾向にあります。
20代や30代の方々は自分の娯楽などのためにボーナスを使うことが多く、特に女性の方がアクティビティであると感じられます。自分の成長につながる習い事、新しい体験、欲しい物にお金を使っていることがわかります。
女性の方なら美容外科(エステも含む)や脱毛の費用に充てる方が多く、若いうちから脱毛や美容外科をしてしまえば「自信を持って過ごせる」期間が長くなると考えているからですね。
結婚後は生活費や子育てにお金がかかるため、結婚前にコンプレックスをなくすことに使うのは有意義なお金の使い道と言えますね。
3.おすすめのボーナスの使い方5つ
おすすめのボーナスの使い方をご紹介します。
①貯蓄
先ほどでもお話した通り、ボーナスを貯蓄に回す人が多いです。(全体の約5割)
確実に貯蓄するためには定期預金を利用するのがおすすめで、複数口座を使い分けて目的別に管理している家庭も多いです。特にお子さんの塾の講習費や将来の学費を貯蓄していることがわかります。
多くのFPさんは「ボーナスの貯蓄は、支給額の5割〜6割が良い」と言われておりますが、家計に響かない範囲内を貯蓄に回すことをおすすめします。
欲しいモノもあるかと思いますが、優先順位を付けて先に残すお金は定期預金で積み立てると良いでしょう。すでに積立預金をしている方はその銀行で良いですが、積立預金をするなら金利の高い銀行を選ぶことがポイントです。
近年では大手銀行よりネットバンクの方が高金利の傾向にありますので、検討してみると良いでしょう。積立預金のおすすめ銀行をまとめましたので、参考にしてみてください。
②ローン返済
先ほどの「ボーナスの使い道の調査」データでは、27.8%の方がボーナスをローン返済に充てていました。
- 奨学金
- 車や住宅
- 高額商品
- カードローン
などのローン返済が主にありました。20代や30代の方は奨学金の返済、30代以上は車や住宅のローン返済が多かったです。
また、趣味などで集める高額商品のグッズをローン購入する方もいますが、月々一定額でローンを組むと多くの利息がかかります。早くローンを完済するためにもボーナスが入る月には繰上返済をすることをおすすめします。
利息が抑えられますし、返済期間も短くできます。しかし、勤め先によっては業績悪化などでボーナスが減ってしまうことも考えておく必要があります。ボーナスありきでローンを組んでしまうと、後に返済が困難になってしまう可能性もあるからです。
ローンを組む場合は、ボーナス分の2割〜3割程度にして生活費に影響のない範囲で計画性を持って契約しましょう。事前に返済シミュレーションをしておくと良いですね。
③生活費に補てん
毎月の生活費がギリギリの状況の方は、ボーナス分を今後の生活費に補てんすることをおすすめします。(補てん=足りないところを補うこと)
例えば夏のボーナスが入った場合、次のボーナスが入るまでの4か月間(8月〜11月まで)の生活費に振り分けると良いです。仮にボーナスが30万円なら10万円を貯金にし、残り20万円を5万円ずつ補てんします。
月々3万円に設定するなら、ボーナス分から12万円は確保すると良いですが、ボーナスの金額によって補てんできる金額は異なりますので、家庭で話し合っていきましょうね。
④家族へのプレゼント
日頃から家事や子育てを頑張っているママへのプレゼント、ご両親へのプレゼント、子供へのプレゼントなど、お金に余裕があるボーナス月に感謝を込めて贈りましょう。
プレゼントを贈る場合はボーナスの2割〜3割程度が良く、仮に30万円なら6万円〜9万円ほどが適切です。無理して高価なものを買う必要はないので、家庭の生活と照らし合わせて予算を決めていきましょう。
⑤ふるさと納税
(出典:さとふるサイト ふるさと)
ふるさと納税は、自分の応援したい自治体(地域)に寄附することで、翌年度の「住民税」の控除対象となり減税される制度です。加えて、特産品などのお礼の品がもらえるので得することばかりです。
実質の「自己負担額は2,000円のみ」でふるさと納税ができますが、寄附金の控除上限額は「年収・家族構成・居住地域」などによって異なるため、ふるさと納税サイトで確認してから申込をしましょう。
ふるさと納税で住民税が減税されるまでの流れは次の通りです。
- ふるさと納税サイトなどで控除上限額を調べる
- 寄附する自治体、または欲しい特産物などを決めて申し込む
- 自治体から「返礼品」と「寄付金受領証明書」が届く
- 寄附金控除の手続きをする
- 寄付金から自己負担額の2,000円の差引額が住民税から控除される
(出典:さとふるサイト ふるさと)
会社勤めの方は会社が年末調整をするため、「ワンストップ特例制度」を活用すれば税控除申請が完了です。ふるさと納税の申込フォームでワンストップ特例申請書を「希望する」にチェックを入れて申し込むと自治体から申請書が届きます。
本人確認書類などのコピーと一緒に寄附先の自治体に郵送すれば完了です。(申請書の送付期限にも注意。ふるさと納税を行った翌年の1月上旬まで)
*自身で確定申告する方は確定申告時にふるさと納税の税控除申請が必要
翌年度に住民税が減税されると家計の節約につながりますので、ボーナス月のみ控除上限額の範囲内でふるさと納税をすると良いでしょう。
4.ボーナス月には特別費も残しておこう!
ボーナスが支給されると自由にお金を使うと思いますが、今後かかってくる特別費も頭に入れておきましょう。主な特別費は次の通りです。
- 自動車税(車検代)
- 固定資産税
- 家賃の更新料
- 入学準備金
- 生命保険料
各家庭によって特別費は自由に決めて良いですが、いくら特別費として残しておくのかがポイントです。事前に今後かかってくるお金を洗い出してボーナス分から差し引いておくことをおすすめします。
ボーナス支給前後には財布の紐が緩む可能性が高いため浪費しがちですが、特別費や貯金額を先取りして残りのボーナス分の範囲内でお金を使いましょう。
できれば年間を通して特別費の計算をしておくことがベストですが、初めはボーナス後の半年間でかかってくる費用を把握しておくと良いですね。
5.ボーナスを貯金する人の貯金額割合
一般的にはボーナス分を使い残った金額を貯金に回すことが多いですが、「使い過ぎてしまった!」とならないように貯金する金額はボーナスが入った時に決めておきましょう。
令和元年の夏のボーナスを「貯金した」という方の貯金割合を見てきましょう。
割合 | |
---|---|
ボーナスの75%以上 を貯金した | 31.3% |
ボーナスの50%〜75%未満 を貯金した | 26.0% |
ボーナスの25%〜50%未満 を貯金した | 30.0% |
ボーナスの25%未満 を貯金した | 12.6% |
約6割の人がボーナス額の50%以上を貯金に回していることがわかりました。先ほどお話した特別費やローン返済などの費用もあるため、貯金に充てられる実際のお金は家庭によって異なります。
「特別費→洗い出した金額」、「ローン返済→設定額」、「貯金額→ボーナスの3割」のように、まずは優先順位を付けてからモノの購入費などに充てると良いですね。
次にボーナスの支給額の割合も見ていきましょう。(全国平均)
ボーナスの支給額 | 割合 |
---|---|
20万円未満 | 16.2% |
20万円〜 40万円未満 | 23.7% |
40万円〜 60万円未満 | 19.6% |
60万円〜 80万円未満 | 14.4% |
80万円〜 100万円未満 | 11.2% |
100万円〜 120万円未満 | 6.5% |
120万円〜 140万円未満 | 2.3% |
140万円〜 160万円未満 | 1.3% |
160万円〜 180万円未満 | 0.7% |
180万円〜 200万円未満 | 0.9% |
200万円以上 | 3.1% |
6.ボーナスにかかる税金とは?
ボーナスの支給額は月収の「2か月分・2.5か月分・3か月分」が一般的で、全額手元に残ると勘違いしそうですが、実際には次の税金が差し引かれてから支給されます。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
基本的に会社側が算出した後にボーナスを振込されるため、給料明細を確認するだけで良いですが、自分であらかじめ計算しておきたい場合は計算しておくと良いでしょう。
それぞれの計算方法をご紹介します。
①健康保険料
健康保険料はボーナスから1,000円未満の端数を切り捨てた金額に保険料率をかけて計算し、企業側とあなたが半分ずつ折半する方法(労使折半)で金額が出ます。
<健康保険料の計算式>
差し引かれる金額=ボーナス×保険料率÷2分の1(労使折半)
なお、保険料率は勤め先の地域によって異なるので、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」で確認しておきましょう。
例として東京都の会社で働いている場合の保険料率は9.90%です。40歳〜64歳までの方は「介護保険第2号被保険者」となるため保険料率は1.73%が加わり、11.63%が適用されます。(地域で利率は異なる)
例として39歳未満の方がボーナス50万円の時で計算してみました。計算式は次の通りです。
50万円×9.90%÷2分の1=24,750円
となり、「24,750円」がボーナスから差し引かれます。仮に40歳〜64歳までの方の場合は「50万円×11.63%÷2分の1=29,075円」となり、「29,075円」がボーナスから差し引かれます。
②厚生年金保険料
厚生年金保険料もボーナスから1,000円未満の端数を切り捨てた金額に保険料率をかけて計算し、企業側とあなたが半分ずつ折半する方法(労使折半)で金額が出ます。
<厚生年金保険料の計算式>
差し引かれる金額=ボーナス×保険料率÷2分の1(労使折半)
厚生年金保険料の保険税率は、年金制度改正によって年々率が引き上げられてきましたが、平成29年度を最後に「18.30%」で固定されました。例としてボーナスが50万円だった場合の計算式は次の通りです。
50万円×18.30%÷2分の1=45,750円
ボーナスが50万円の方は45,750円も差し引かれます。
③雇用保険料
雇用保険はシンプルにボーナス額に雇用保険料率をかけて計算します。
<雇用保険料の計算式>
差し引かれる金額=ボーナス×雇用保険料率
雇用保険料率は事業の種類によって異なり、原則毎年4月1日に改定が行われます。平成29年度以降の雇用保険料率は次の通りです。(変更がない年もあり)
あなたの負担 | 会社の負担 | 原則的な 雇用保険料率 |
|
---|---|---|---|
一般事業 | 0.3% (3/1000) | 0.6% | 0.9% |
農林水産 清酒製造業 | 04% (4/1000) | 0.7% | 1.1% |
建設業 | 0.4% (4/1000) | 0.8% | 1.2% |
例として一般事業の会社に勤めている時で50万円のボーナスが出た場合は次の通りです。
50万円×0.3%=1,500円
1,500円がボーナスから差し引かれます。社会保険のくくりですと「健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料」の3つを合算した金額がボーナスから差し引かれることになります。
これまでボーナス50万円で計算してきましたので、一度合算してみます。
①健康保険料→50万円×9.90%÷2分の1=24,750円
②厚生年金保険料→50万円×18.30%÷2分の1=45,750円
③雇用保険料→50万円×0.3%=1,500円
④合計→①+②+③=72,000円
72,000円がボーナス分から引かれるため、ボーナスが50万円であったとしても、42万8千円になります。しかし、この42万8千円から最後に所得税も差し引かれるため、次では所得税の解説をしていきますね。
④所得税
所得税は、ボーナスから「社会保険料(①+②+③)の合計額を引いた額」に「源泉徴収税率をかけた」金額になります。
<所得の計算式>
所得税=(ボーナス−社会保険料の合計額)×源泉徴収税率
源泉徴収税率を出すためには、前月の社会保険料控除額の給与が基準となり、扶養人数によっても税率が異なります。2019年度の場合ですと、次の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率」から対象の税率がわかります。
(出典:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表)
例として3人家族のケースで税率を出してみます。設定額などは次の通りです。
- 扶養人数が1人
- 前月の給与が25万円(社会保険料控除後)
この場合に当てはまる税率は「4.084%」になります。「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」でも確認してみましょう。
この「4.084%」を基に計算していきます。所得税は、ボーナスから社会保険料の合計額を引いた額に源泉徴収税率をかけるとボーナスにかかる所得税が出ます。
これまでボーナス額が50万円でしたので、50万円の時の計算式は次の通りです。
50万円(ボーナス)-72,000円(社会保険料の合算額①+②+③)×4.084%(源泉徴収税率)=所得税額
それでは、計算していきますね。
- 50万円-7万2千円=42万8千円
- 42万8千円×4.084%=17,479円
この家族のケースで、ボーナスが50万円の時の所得税額は「17,479円」になります。では、最後に先ほどのボーナスから引かれる社会保険料と合算していきます。
ボーナスから引かれる社会保険料(①+②+③)72,000円と所得税額の17,479円を合算すると、「89,479円」が実際にボーナスから引かれる税金です。つまり、50万円のボーナスがあったとしても、手元に残るのは「410,521円」になるということです。
ボーナスが50万円の場合、税金だけで約9万円の差額がありますので、これを踏まえた上でボーナスを使う、貯金する、資産運用をすると良いですね。なお、住民税はボーナスから引かれることはありません。
7.まとめ
ボーナスの使い道は過半数の方が貯蓄に回すことが多く、また6割以上の家庭が今後の生活費やこれまでの赤字分に補てんすることに使っています。
お子さんがいる家庭では、将来かかる学費や塾などの講習費はバカにできません。ある程度、視野に入れておくとその時期が来た時に安心して対処できますね。
もちろん各ライフスタイルによってボーナスの使い道は異なりますが、生活費が足りなくならない範囲内でお金を使っていきましょう。