
ネット上にはお金を借りたい人と貸したい人が個人的にやり取りをする「個人融資掲示板」というものが存在します。
個人融資なら大手の金融機関に融資を断られた方でも借りられる可能性があるため、ブラックや多重債務者と呼ばれる方が特に多く利用する傾向にあるようです。
しかし、個人融資掲示板は決して安全とは言えず、実際にトラブルや犯罪に巻き込まれるケースが数多く報告されています。この記事では、個人融資掲示板とは一体どういったものなのか、その危険性などを詳しくご紹介していきます。
もくじ
1.個人融資掲示板とは
お金を借りたい人と貸したい人がネット上でやり取りをする掲示板で、メールアドレスやニックネームなどの簡単な情報を登録し、相手とコンタクトを取るシステムです。
掲示板に書き込む内容は主に借入希望額、借入理由などで、具体的には次のような内容です。
<お金を借りたい側の例>
氏名:まり
住所:東京都
年齢:30歳
希望額:5万円
コメント:今月は臨時出費が多かったため、給料日までの生活費が足りず困っています。返済は月に1万円ずつになりますが必ずお返しします。親切な方どうか助けてください。
<お金を貸したい側の例>
氏名:鈴木
住所:神奈川県
融資可能額:10万円
融資条件:ブラックでも構いませんが、毎月収入があり、本人確認書類を提出できる方に限ります。少しでもお力になれればと思っておりますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。
2.個人融資掲示板の審査
個人融資の場合、相手の信用情報を確認することができませんので、銀行や消費者金融のような審査はありません。
しかし、お金を貸す側としてはきちんと返してくれる人かどうかは最低限確認する必要があるので、それぞれ独自の基準を設けている場合がほとんどです。たとえばこんな感じです。
- 顔写真付きの本人確認書類を提出できる方
- 社会保険証を提出できる方
- 収入証明書を提出できる方
- 職場への在籍確認が取れる方
融資基準は人によってさまざまですが、ブラックや多重債務者でも借りられる場合もあるため、金融機関に比べれば柔軟な審査が行われていると言っていいでしょう。
個人間融資の場合、お金を貸すかどうかはあくまで貸す側個人の判断に委ねられることになります。
3.個人融資掲示板を利用する人
個人融資掲示板を利用する人の多くは銀行や消費者金融の審査に落ちてしまった、あるいはブラックでどこからも借りることができない場合が多いですが、なかにはあえて個人融資掲示板を利用する人もいるようです。
個人融資であれば信用情報に履歴が残らないため、今後ローンなどを組む際にも審査に影響することはありません。しかし、その分個人融資には多くの危険が伴うのも事実なので、安全性を求めるなら正式な金融機関から借りるのが望ましいでしょう。
4.個人融資掲示板の違法性
そもそも個人融資掲示板での貸し借りは違法ではないのかという点ですが、この点はかなり微妙なラインとされています。
本来、賃金業を営むには国や都道府県に正式な届出が必要です。届出をせずに賃金業を営むことは違法です。ただし、これは業として営む場合であり、営利目的で継続的に不特定多数の人にお金を貸す場合です。
個人融資の場合、営利目的やビジネスではないという見方がある一方で、実態上はビジネスとして捉えることができるという見方もあります。
この点は現状判断が分かれる部分ですが、個人融資掲示板には闇金業者が潜んでいる場合も多く、犯罪に巻き込まれるケースが多発しているのは事実です。
さらに、たとえ何らかのトラブルに巻き込まれた場合でも運営元では何の責任も負わないという旨が、各サイトの注意事項欄にしっかりと明記されています。
明確な違法性があるかどうかという以前に、掲示板の利用そのものに大きな危険性があるということをよく覚えておきましょう。
5.個人融資掲示板を利用する際の金利
いくら個人間の融資といえど、貸し付けを行う際の金利も自由に決めて良いわけではありません。金利は利息制限法という法律によって以下のように定められています。
借入元本がいくらであっても年利20%を超える貸し付けは違法です。
闇金などの違法業者はこれよりも遥かに高い金利で貸し付けをすることが多いため、違法業者であるかどうかの判断に迷う場合は、金利を一つの基準にしてみると良いでしょう。
6.個人融資掲示板で実際にあったトラブル
個人融資掲示板では多くのトラブル事例が報告されており、時には犯罪に巻き込まれてしまうケースも少なくありません。個人融資掲示板で実際にあったトラブル事例をまとめました。
トラブル1 実は闇金だった
個人融資掲示板には善良な個人を装った闇金業者も存在します。特に審査が甘いことを必要以上にアピールしている相手には気をつけた方が良いでしょう。
闇金の場合お金を借りること自体はさほど難しくないでしょうが、通常では考えられない法外な利息を請求してきます。一度借りたら最後、利息の返済に追われ借金地獄から抜け出せなくなってしまうので絶対に関わってはいけません。
トラブル2 お金を騙し取られる
「返済能力を確認したい」「保証金として」など、何かと理由をつけ、あらかじめ5,000円や1万円など少額の金銭を要求されるケースがあります。
しかしほとんどの場合、お金を渡した途端相手と連絡が取れなくなり、貸してもらうどころか反対にお金を騙し取られることも多いようです。
トラブル3 個人情報を闇金に流される
お金を借りる際、氏名、電話番号、口座番号など、最低限の個人情報は相手に伝える必要があるでしょう。この時、運転免許証や保険証などの写真を送ってほしいと言われ、後にその個人情報が流出していたというケースもあります。
相手とはそれっきり連絡が取れなくなり、代わりに闇金のような怪しい業者から頻繁に融資の連絡が来るようになった事例もあります。
最初から個人情報を騙し取る目的で近寄ってくる場合もあるので、個人情報を安易に相手側に渡すのは非常に危険です。
トラブル4 わいせつな写真や行為を要求される
お金を貸す代わりにわいせつな写真や行為を要求されることも中にはあるようです。後々ネット上で写真が出回るなどの危険性もあるため、いくらお金に困っていたとしてもこのような要求には決して応じてはいけません。
また、最初はそのような素振りを見せなくても直接会ってお金を渡したいと言われ、ホテルやカラオケボックスなどに連れ込まれるケースもあります。
素性の分からない相手と密室で二人きりになるような状況は大変危険ですので絶対に避けるべきです。
トラブル5 サイトへの登録を促される
お金を貸す条件として、アフィリエイトサイトや出会い系サイトへの登録を促したり、証券口座を開設させる事例も見受けられます。普通に考えればおかしいと思える状況でも焦っている状況では冷静な判断が難しくなることもあります。
このようなケースでは単にサイトへ登録させることが目的であり、登録をしたところでお金を貸してくれるわけではありません。
トラブル6 自分名義の銀行口座や携帯電話の番号を要求される
あなた名義の銀行口座や携帯電話を売ってほしいと言われるケースもあるようですが、口座の売買は法律で禁止されている行為ですし、携帯電話についても振り込め詐欺などの犯罪に使われる可能性が高いです。
思わぬ形で犯罪に加担してしまう場合もあるので、このような要求をしてくる相手とは絶対に関わってはいけません。
7.安全な金融機関から借りよう
個人融資掲示板には多くの危険が潜んでいます。相手の素性が分からないため、闇金などの悪徳業者を見分けることも非常に難しく、個人融資掲示板の利用は自ら危険な場所に飛び込むようなものです。
万が一トラブルに巻き込まれたとしてもサイト側は何の責任も取ってくれないので、警察や弁護士に相談するなど、自分自身で解決策を見出す他ありません。
お金を借りるなら個人融資よりも銀行や消費者金融など安全な金融機関を選ぶのが一番です。銀行や大手消費者金融の審査に落ちてしまった場合は、中小消費者金融という手もあります。
中消費者金融の場合はきちんと認可を受けている業者を選ぶということが前提となるため、業者選びに注意は必要ですが、大手よりも審査は柔軟な傾向にあります。まずは、きちんと認可を受けた、安全な賃金業者を選ぶようにしましょう。
8.まとめ
個人間とはいえ、友人や同僚など素性の知れた相手から借りる場合とは違います。
ネット上のやり取りで相手の本性を見抜くことは非常に困難ですし、どんな相手でも最初は善人のフリをして近づいてくることがほとんどです。
簡単に貸してくれる相手ほど後々トラブルになるケースが多いので、個人融資掲示板で安全な貸し手を探すより、安全な金融機関で審査に通る方法を考えましょう。