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相続税対策を徹底解説|税金を大幅減税する方法と手段まとめ

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続税対策

相続をした場合には、相続税を支払う必要があります。

以前は相続税の基礎控除が大きかったため、一般家庭で相続税の支払いが必要になることは少なかったのですが、平成27年度の税制改正によって、基礎控除が大きく減額されました。

このことによって、相続税を支払わなければならないケースが大幅に増加する可能性があります。

一般家庭でも相続税対策をする必要性が高まっています。相続税対策をするかしないかで、支払いが必要になる相続税の金額が大きく異なってきます。

相続税対策方法にはいろいろありますが、相続した財産の種類によっても、利用できる相続税対策方法が異なります。そこで今回は、遺産の種類ごとの相続税対策方法を徹底解説します。

1.保険の相続税対策

平成27年度から相続税の基礎控除が大きく削減されたことにより、一般家庭でも相続税対策の必要性が高まっています。相続税対策方法としては、保険を利用したものがあります。保険を利用した相続税対策方法とは、具体的にどのような方法なのでしょうか。

①保険の相続税対策の種類

保険を利用した相続税対策方法を利用する場合、どのような種類の保険を利用できるのでしょうか。保険には生命保険を始めとして、火災保険や地震保険、自動車保険などいろいろあります。これらの中で、相続税対策に利用できるのは生命保険です。

また、被相続人(亡くなった人)が会社を経営していたり役員であるケースなどもありますが、この場合に被相続人が死亡した際には死亡退職金を支給する旨の設定をしておくことによっても同様の効果が得られます。

さらに、生命保険を利用する場合、相続税の支払いを減額する方法だけでなく、生命保険を生前贈与として賢く利用する方法もあります。この生前贈与の方法については後ほど詳しく説明します。

②保険の相続税対策の詳細と方法

生命保険や死亡退職金を利用した相続税対策の方法の具体的な手順は、どのようにすればよいのでしょうか。死亡退職金については、被相続人に高額な死亡退職金を支給する旨の設定をしておけば基本的に準備は終わりです。

生命保険の場合には、被相続人を契約者として、被保険者も被相続人とします。そして、死亡保険金の受取人を相続させたい人にするのです。すると、相続が起こった場合、相続人が死亡保険金や死亡退職金を相続することになります。

これらの死亡保険金や死亡退職金は民法上は遺産ではありませんが、税制上は遺産として扱われます。死亡保険金と死亡退職金には相続税が課税されます。その代わり所得税などの課税はありません。

死亡保険金や死亡退職金については、大幅に相続税の控除が認められていて、「500万円×法定相続人数」までの金額の死亡退職金や死亡保険金は非課税になります。

この死亡保険金や死亡退職金の非課税枠を利用すると、高額な保険金や死亡退職金を受け取っても、相続税の支払いをしなくて良くなります。このような手順により、生命保険や死亡退職金を利用して効果的に相続税対策ができます。

③保険の相続税対策の3つのメリット

生命保険や死亡退職金を利用して相続税対策をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1 相続税を減らせる

生命保険や死亡退職金を利用した相続税対策は、現金で相続させるよりも大きく相続税を節税することができます。

たとえば、現金で3,000万円を相続したら、その3,000万円にそのまま課税されてしまいます。この現金で生命保険の掛け金を支払って、その死亡保険金を相続した場合、死亡保険金には大きな相続税の控除が認められるので、現金を相続した場合よりも相続税の金額が大きく減額できます。

たとえば3,000万円の死亡保険金を受け取った場合、相続人数が4人いれば、「500万円×4人=2,000万円」までの受け取り分までは非課税となります。この場合、残りの1,000万円に課税される相続税のみ支払えば良いことになります。

また、生命保険の利率は銀行預金より高いです。現金をそのまま預けておいて相続させるよりも、生命保険の掛け金に充てて死亡保険金の形で受け取った方が、利率も良くなり受け取る金額が大きくなります。

メリット2 相続人間の争いを避けられる

生命保険金を特定の相続人に相続させることにより、相続人間の遺産争いを避けることができます。現金や預貯金、不動産などをそのまま残した場合には、誰がその現金を相続するかについて相続人間で話し合って決めなければなりません。この手続きを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議においては、相続人間で話し合いがつかずに争いに発展することが多いです。この点、死亡保険金は受取人をはっきりと指定するので、誰が遺産を受け取るかという問題が発生せず、相続人らの遺産分割についての争いを避けやすくなります。

また、死亡保険金は遺留分減殺請求の対象になりません。相続人のうちの誰か一人に相続させるために遺言を残した場合も、他の法定相続人には最低限の相続権である遺留分が認められる場合があります。

すると、その法定相続人が遺留分減殺請求(遺留分の請求をすること)をして、遺産を受け取った相続人との間で争いが発生することがあります。ところが、死亡保険金の場合には遺留分減殺請求の対象にならないので、やはり生命保険を利用すると、相続人間の争いを避けることができるのです。

メリット3 葬儀費用や相続税の支払いに充てられる

生命保険や死亡退職金制度を利用すると、高額な死亡保険金や死亡退職金が相続人の手元に入ります。このようにまとまったお金が入ってくることによって、相続税を円滑に支払うことができますし、葬儀費用などの支払いに充てることもできます。

もし相続税の支払いができないと、不動産を売って相続税を納めなければならなくなったり、相続人の財産が差し押さえられてしまう可能性などもあるので、死亡保険金や死亡退職金によって、相続人の手元にまとまったお金が入ってくることには大きなメリットがあります。

④保険の相続税対策の3つのデメリット

保険の相続税対策のデメリットは主に3つです。

デメリット1 気をつけないと相続税の控除を受けられない

生命保険を利用する場合、契約者と被保険者、受取人の設定をきちんと正しくしておかないと、相続税の控除を受けられないという問題があります。

相続税対策をする場合には契約者は被相続人、被保険者は被相続人、死亡保険金の受取人は相続人にすることが必須です。このうちどれか1つでも間違うと、相続税の控除は受けられず、所得税や贈与税などが課税されることになってしまいます。

デメリット2 選び方を間違えると所得税が課税される

生命保険の選び方や設定を間違えて、死亡前に満期返戻金を受け取ってしまう場合にも問題が発生します。この場合には、被相続人が生きている間に被相続人自身が満期返戻金を受け取ることになってしまいます。そうすると所得税が課税されることになり、相続税の非課税枠は使えません。

デメリット3 高額な贈与税が課税される可能性がある

満期返戻金の受取人を相続人に指定した場合にも、この場合にはまだ被相続人が生きているので、贈与扱いとなり、贈与税が課税されてしまいます。この場合にも、相続税の非課税枠を利用できないので、高額な贈与税が課税される可能性があります。生命保険を利用した相続税対策をする場合には、契約者などの設定やお金の受け取り時期、受け取り方法などにくれぐれも注意する必要があります。

2.土地の相続税対策

相続が起こった場合、遺産の中に土地が含まれていることも多いくあります。たとえば自宅を相続する場合にも、建物部分と土地部分を相続することになるでしょう。土地を相続する場合の相続税対策はどのようにするのでしょうか。

①土地の相続税対策の種類

土地の相続税対策にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に見てみましょう。

その1 土地を賃貸する方法

土地を賃貸に出すなどして活用する方法があり、土地上に建物を建てて、その建物を賃貸することで、相続税対策になります。土地を賃貸すると、借地権評価分を土地の相続税評価額から差し引くことができるので、支払う相続税の金額を減額できます。

土地をそのまま賃貸している場合には、相続税評価が30%~40%くらいになりますし、土地上に建物を建てて賃貸している場合には、相続税評価が80%くらいになります。

その2 土地を購入する方法

現金を残すのではなく、その現金で土地を購入することによっても、相続税対策になります。現金よりも土地などの不動産の方が、相続税評価額が低くなるからです。土地の場合には、実勢価格の8割程度の相続税評価額になることが多いです。

その3 土地を贈与する方法

たとえば、不動産を子どもや孫に生前贈与した場合には、2,500万円分の贈与まで贈与税を非課税にすることができる相続時精算課税制度が利用できます。また、配偶者に居住用の不動産を生前贈与する場合には、2,000万円分までの贈与の贈与税を非課税にすることができます。

その4 土地を売却する方法

そして、土地を売却してしまう方法もあります。土地を売却して現金に換えて、その現金を被相続人が使ってしまえば、相続税はかかりません。また、現金を生命保険などに変えて1の方法で相続税対策をすることなどもできますし、その現金でもっと相続税対策効果の高い不動産を購入することなどもできます。

②土地の相続税対策の詳細と方法

土地を利用した相続税対策の具体的な手順はどのようにするのかを確認しましょう。まず、土地を賃貸に出す方法です。この場合、土地をそのまま借地として貸し出しても良いですが、土地上に賃貸アパートを建てて賃貸する方法が有効です。賃貸アパートを建てる際に、現金を利用するので、現金を相続税評価の低い建物に替えることもできるようになるからです。

土地を購入する場合の手順は、できるだけ活用しやすそうな良い土地を探して現金で購入します。土地を贈与する場合の手順は、土地を子どもや孫、妻などに贈与して、贈与契約書を作成して、贈与の登記をすることです。そして、贈与についての確定申告も必要になります。

土地を売却する場合の手順は、土地を査定に出してなるべく高い価格で売却します。このとき、不動産の一括査定サイトを利用すると便利です。また、土地を売却して得た現金については、そのままおいておくのではなく何らかの有用の資に利用することがおすすめです。たとえば上記で紹介したように、賃貸アパートを建てるなども有効な相続税対策になります。

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③土地の相続税対策の3つのメリット

土地を利用した相続税対策のメリットは主に3つです。

メリット1 相続税評価額を大きく減額できる

土地を遺産に含めることによって、遺産の相続税評価額を大きく減額できることが挙げられます。土地の相続税評価額は実勢価格の8割程度になります。土地を賃貸に出していると、そこからさらに大きく評価が減額されます。

メリット2 小規模宅地の特例がある

土地の相続の際には、小規模宅地の特例があります。小規模宅地の特例とは、小規模な宅地の相続の場合に、土地の相続税評価額を大きく減額する特例のことです。具体的には、居住用の土地の場合には330平方メートルまで8割減、賃貸している土地の場合には、200平方メートルまで5割減にすることができます。

メリット3 賃貸収入を得ることができる

土地を賃貸などして活用すると、賃貸収入を得ることができます。このことによって生活も助かりますし、収入分を相続人に少しずつ生前贈与していくなどの相続税対策をとることもできます。土地を売却すると、多額の現金が手元に入ってくるので、たとえば老人ホームに入る際の入居費用に充てることなどもできて、非常に助かることもあります。

④土地の相続税対策の5つのデメリット

土地を利用した相続税対策には、デメリットはあるのでしょうか。

デメリット1 固定資産税の支払いの必要

土地を購入して所有すると、毎年固定資産税の支払いの必要があります。土地をうまく活用できていないと、固定資産税の支払いが無駄になることがあります。

デメリット2 不動産の管理が必要

土地や土地上の建物を賃貸している場合、その不動産の管理が必要になります。不具合が生じたら修繕しなければなりませんし、賃料などの管理も必要です。賃借人が出て行ったら新たな賃借人を探さねばなりません。このように、不動産を所有していると、いろいろな管理の手間がかかってしまうデメリットがあります。

デメリット3 自由に活用できる資産を失う

土地を売却してしまうと、確かに一時的に現金が入ってきますが、その分自由に活用できる資産を失うことになります。たとえば土地をそのまま持っていれば、いざというときその土地上の建物に自分が居住することもできますし、将来気が変わった場合に、相続人の一人に生前贈与することなども可能です。しかし、売却してしまうと、このような活用はできません。

デメリット4 手間がかかる

土地を売却する場合、上手に売却しないと相場より低い価格で売却することになり、損をしてしまうこともあります。さらに、土地を売却する際には、事前に土地相場を調べたり、複数の不動産業者に査定を出してもらったり、土地を売り出して購入希望者を探して交渉する必要が生じるなど、いろいろな手間が発生します。また、不動産仲介手数料なども発生します。

デメリット5 相続税の評価額が大幅に上がってしまう

不動産を売却して現金に換えることによって、相続税の評価額が大幅に上がってしまうことになります。不動産を売却すると、それなりにデメリットがあるので、相続税対策としては、さほど有効にはならないことが多いです。不動産を売却するときは、すぐに現金が必要な場合や、賃貸アパートを建てるなどの有用の資に充てる場合などに限った方が良いでしょう。

3.マンションの相続税対策

マンションを利用した相続税対策方法もあります。具体的にその方法を説明していきます。

①マンションの相続税対策の種類

マンションを利用した相続税対策には、いくつかの種類があります。

その1 マンションを購入する

マンションは不動産なので、相続税評価が現金よりも低くなります。マンションの相続税評価は、マンションの敷地部分と建物部分に分けて評価して合計することになります。このとき、土地部分も建物部分も実勢価格よりはかなり低くなります。

特に、戸数の多いタワーマンションの高層階などは、相続税対策に非常に有効だとも言われています。土地部分の評価については、実勢価格の8割程度になります。建物部分については実勢価格の7割程度になります。現金でマンションを購入して、マンションの形にするだけで相続税対策になります。

その2 マンションを経営する

不動産を賃貸していると、その不動産については相続税評価が減額されます。マンションを賃貸に出した場合、土地部分については80%程度、建物については70%程度にまで相続税評価額を減額できるので、相続税対策に非常に役立ちます。

その3 マンション投資する

「マンション投資」とは、賃貸マンションを購入して投資することによって相続税対策をする方法です。購入したマンションを賃貸することによって相続税を節税する方法なので、相続税の節税の仕組み自身はマンション経営による相続税対策と同じことになります。

②マンションの相続税対策の詳細と方法

マンションを利用した相続税対策方法の具体的な手順を見てみましょう。

その1 マンションを購入するケース

相続税対策によさそうなマンションを見つけてマンションを購入します。マンションを探す場合には、なるべく土地の敷地兼割合が小さい物件を選ぶようにしてください。このことによって、土地部分の評価額を下げることができます。また、なるべく高層階を選ぶようにしてください。マンションは、低層階でも高層階でも相続税評価額が変わりませんが、実勢価格は高層階の方が高くなるので、高層階を購入した方が相続税対策の効果が高いです。

その2 マンションを賃貸経営するケース

この場合、マンションを購入してそのマンションを賃貸に出したり、自分が持っているマンションを賃貸に出して経営します。

その3 マンション投資するケース

マンション投資するケースでは、投資用マンションを購入することが基本です。良いマンションの選び方は、マンション購入の際の基準と同様です。ただ、収益を主に考える投資用物件の場合には、収益率や、賃貸人が入りやすいかどうか、いざというときに売却しやすいかどうかなどの流動性の観点も入れて判断する必要があります。

③マンションの相続税対策の2つのメリット

マンションを利用して相続税対策をするメリットは主に2つあります。

メリット1 相続税を減額できる可能性がある

マンションを購入すると、相続税評価額が大きく減額されて、支払う相続税の金額が大きく減額できる可能性があります。マンションの相続税評価額は、土地と建物に分けて行いますが、土地部分も建物部分も、実勢価格より相続税評価額が大幅に低くなるからです。

マンションを賃貸経営したり、投資用マンションを購入する場合には、さらに相続税評価額を減額することが可能です。マンションを賃貸に出すと、敷地の土地の相続税評価額は8割程度になりますし、建物部分の相続税評価額は7割程度になります。

メリット2 賃貸収入が得られる

マンションを賃貸に出してマンション経営をしたり、投資用マンションを購入すると、それらのマンションからの賃貸収入が得られるメリットがあります。生活費や遊興費の足しにすることもできますし、未来の相続人に生前贈与することなどもできて、自由に使えるお金ができます。

④マンションの相続税対策のデメリット

マンションを利用して相続税対策をするデメリットは主に4つあります。

デメリット1 マンション購入に失敗する可能性がある

マンション購入する際に、失敗する可能性があります。マンションを購入して相続税対策をする場合、どのようなマンションでも良いと言うことにはなりません。相続税対策に有効なマンションを探して購入する必要があります。

たとえば敷地部分の持ち分割合が大きいマンションを購入してしまうと、思ったより土地部分の相続税評価額が上がってしまうこともあります。

デメリット2 投資分が無駄になる可能性がある

マンションを賃貸する場合には、賃借人を探さなければなりません。人気のない物件を購入してしまうと、なかなか賃借人が入らず、投資分が損失になってしまうことがあります。収益率の低いマンションを購入した場合も、思ったより賃料収入が得られずに、投資分が無駄になってしまうおそれがあります。

デメリット3 管理する必要がある

マンションを賃貸している場合、そのマンションをきちんと管理する必要があります。不具合があれば、すぐに修繕するなどの対応も必要です。

デメリット4 毎年固定資産税が課税される

マンションを所有し続けている限り、毎年固定資産税が課税されます。マンションをうまく活用できていなければ、固定資産税の支払いが無駄になってしまうケースもあります。

4.アパートの相続税対策

相続税対策方法としては、賃貸アパートを利用する方法もあります。賃貸アパートを利用した相続税対策方法について解説します。

①アパートの相続税対策の種類

賃貸アパートを利用して相続税対策を行う場合も、いくつかの種類があります。

その1 アパートを建築する

所有している土地上に賃貸アパートを建築して、そのアパートを賃貸する方法です。この方法を利用すると、現金を賃貸アパートという建物に替えることができるので、相続税評価額を減額できます。建物の相続税評価額は実勢価格の7割程度になるからです。

さらにこれを賃貸に出すことによって、建物の相続税評価額はさらに3割程度減額されます。賃貸アパートを建てることによって、底地の土地部分の相続税評価額も、もともとの8割程度に減額されます。

その2 アパートを経営、投資する

賃貸アパートを所有している場合にそのアパートを経営したり、投資用アパートを購入する方法もあります。投資用アパートを購入すると、現金を土地や建物という不動産の形に替えることによって、遺産の相続税評価を下げることができます。

また、賃貸アパートを経営すると、賃貸による相続税評価減があるので、土地や建物の相続税評価額を減額することができます。

②アパートによる相続税対策の詳細と方法

賃貸アパートを利用した相続税対策の具体的な手順を確認しましょう。

その1 賃貸アパートを建築するケース

この場合、土地を所有していることが前提ですが、手元の現金や借金(ローン)をして、土地上に賃貸アパートを建築して賃貸します。現金で遺産を残すより、大きく相続税評価額を下げることができます。

その2 賃貸アパートを経営するケース

もともと所有しているアパートに賃借人を入れて賃貸経営します。このことによって、土地や建物について賃貸による評価減が適用されるので、相続税評価額が下がるメリットがあります。

その3 賃貸アパートに投資するケース

良い賃貸アパートの物件を探して、現金や借金(ローン)で購入します。この場合も、賃貸による評価減が受けられるので、現金で遺産を残すよりも大きく相続税評価額を下げることができます。

③アパートによる相続税対策の2つのメリット

賃貸アパートを利用した相続税対策のメリットは臣に2つです。

メリット1 相続税を減らせる

現金で資産を所有している場合よりも、大きく相続税評価額を下げられるメリットが大きいです。不動産は実勢価格よりも相続税評価額が大きく減額されます。土地については8割程度、建物については7割程度になります。

賃貸アパートの場合、さらにここから賃貸に夜評価減が受けられるので、土地の場合にはもともとの相続税評価額の8割程度、建物についてはもともとの相続税評価額の7割程度にまで減額できます。このことによって、支払いが必要になる相続税の金額を大きく下げることができるようになります。

メリット2 賃貸収入を得ることができる

賃貸アパートを所有していると、毎月不労所得の収入が入ってきます。賃貸収入は生活費の足しにしても良いですし、自分の好きな趣味などに使うこともできます。子どもや孫に贈与してもかまいません。自由に使える賃貸収入が入ってくることも、賃貸アパートの大きなメリットになります。

④アパートによる相続税対策の4つデメリット

賃貸アパートを利用した相続税対策のデメリットは4つです。

デメリット1 費用倒れになるリスクがある

賃貸アパートを建築したり、投資用アパートを購入する場合、思ったほど賃料収入が得られないと、費用倒れになるリスクがあります。たとえば、あまり人気のないエリアに賃貸アパートを建ててしまったり、高額過ぎる費用をかけてしまった場合には、賃借人が見つからなかったり、支払うローンの金額の方が大きくなったりして、損失が出ることがあります。

デメリット2 買い手がつかないことがある

人気のない投資用アパートを購入した場合には、いざ売却しようとしても、買い手がつかないことなども多いです。仕方なく購入した価格よりも低い価格で売却せざるを得ず、結局は高額なローンだけが残るというようなこともあり得ます。

デメリット3 管理する必要がある

賃貸アパートを経営していると、そのアパートの管理が必要になります。賃借人がいなければ、これを探さないといけませんし、不具合が発生したら、きちんと修繕しないといけません。

デメリット4 毎年固定資産税が課税される

賃貸アパートを所有し続けている限り毎年固定資産税の支払いの必要があります。賃貸アパートから上手に収益を得られていないと、固定資産税の支払い分が無駄になってしまうこともあります。

5.生前贈与での相続税対策

相続税対策の方法としては、生前贈与を利用した方法もあります。生前贈与を利用した相続税対策方法を解説します。

①生前贈与での相続税対策の種類

生前贈与を利用した相続税対策方法にはいくつか種類があります。

その1 生命保険を利用する方法

まずは、生命保険を利用した方法です。この場合、保険の相続税対策の場合とは異なり、契約者は相続人とします。そして、被保険者は被相続人として、保険金の受取人は相続人とします。

このような加入形態にした上で、毎月の保険料は被相続人が支払います。この保険料支払い分は被相続人が相続人に生前贈与する形になります。ただ、贈与税については、年間110万円までは非課税になるので、毎年の保険料の贈与分のうち110万円までは贈与税はかかりません(暦年贈与)。

このようにして積み立てた生命保険は、死亡した際に相続人が死亡保険金という形で受け取ることになります。この方法をとると、贈与税なしに毎年110万円を贈与した上で、高額な死亡保険金を相続人に渡すことができます。

その2 相続税精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度とは、60歳以上の親が20歳以上の子どもや孫に生前贈与をする場合に、2,500万円までの贈与分の贈与税を非課税にする制度です。2,500万円を超える贈与があれば、その分には20%の割合の贈与税が課税されます。また、贈与した分については、相続時に相続財産に加算して相続税を計算することになります。

その3 居住用不動産の配偶者への贈与の特例

居住用不動産やその購入資金を配偶者に生前贈与する場合の配偶者控除もあります。この制度では20年以上の夫婦の場合、配偶者に居住用不動産やその購入資金を贈与したら、2,000万円の贈与分まで贈与税が控除されるという制度です。居住用不動産の配偶者控除では、相続時に精算して課税されることもないので、大変有効な相続税対策になります。

その4 教育資金、住宅購入資金の贈与の特例

親が子どもや孫に教育資金や住宅購入資金を生前贈与する場合に贈与税が非課税になる制度もあります。親が子どもや孫に教育資金を贈与する場合、贈与分が1,500万円まで贈与税が非課税になります。親が子どもや孫に住宅資金購入費用を贈与した場合、贈与分が1,200万円(又は800万円)までは贈与税が非課税になります。

②生前贈与の詳細と方法

生前贈与を利用した相続税対策の具体的な手順を説明します。

その1 生命保険を利用する場合

生命保険を利用する場合、契約者を相続人(相続させたい人)、被保険者を被相続人(遺産を残す人)、保険金の受取人を相続人とします。毎月の保険料は、被相続人が支払います。この保険料を毎年や毎月支払うこととして、被相続人から相続人への生前贈与とします。

贈与分については確定申告をします。この方法を利用すると、年間110万円までの贈与分(保険料支払い分)には贈与税はかかりませんし、死亡保険金は相続人が受け取ることができます。

その2 相続時精算課税制度を利用する場合

相続時精算課税制度を利用する場合には、被相続人が相続人(子どもか孫)に対して、財産を生前贈与します。この場合、財産の種類はどのような財産でもかまいません。不動産でも現金でもOKです。2,500万円までの贈与について、贈与税が非課税になります。ただし、年間110万円までの非課税枠を使った贈与とは併用できないので、注意が必要です。

また、相続時精算課税制度を利用する場合には、贈与があった翌年に確定申告することが必要になります。相続が起こった際には、贈与分を相続財産に足して相続税を計算する必要があります。

その3 配偶者に居住用不動産や資金を贈与する場合

配偶者に居住用の不動産を贈与する場合、結婚して20年以上の夫婦間で、配偶者に対し、居住している不動産を贈与します。そうすると2,000万円までは贈与税が非課税になります。贈与をしたら不動産の所有権移転登記をして、翌年確定申告を行います。

その4 教育資金を贈与する場合

教育資金を子どもや孫に贈与する場合、教育資金はいったん信託銀行に預ける必要があります。子や孫は資金を使う場合、教育費に支払ったという領収証などの証明資料をもって信託銀行に行って、その金額の出金をすることができます。子どもや孫が30歳までに贈与分を使い切れなければ、残った分には贈与税が課税されます。この方法で、教育資金1,500万円までの贈与が非課税になります。

親が子や孫に居住用不動産の購入費用を贈与する場合の非課税制度を利用する場合には、その贈与の性質は「住宅購入費用」の贈与である必要があります。不動産そのものの贈与は認められません。また、子や孫がすでに組んでいる住宅ローン返済の援助の場合にも、住宅購入資金贈与の場合の非課税制度は利用できません。

親が子や孫に住宅資金を贈与したら、その翌年に贈与税の申告をします。具体的には、非課税の特例の適用を受けるための贈与税の申告書と、計算明細書、戸籍謄本、住民票の写し、不動産の登記事項証明書、不動産購入や新築の際の契約書の写しなどの必要書類をつけて、税務署に提出しなければなりません。

③生前贈与の5つのメリット

生前贈与にはの5つのメリットをご紹介します。

メリット1 大幅に相続税や贈与税を節税することができる

生命保険を利用した生前贈与の場合、被相続人から相続人へと保険料分の贈与をしているにもかかわらず、その贈与分は毎年110万円まで非課税になります。たとえば10年間保険料を支払い続けたら、1,100万円の贈与分が非課税になります。さらに、生命保険は通常預金よりも利率が良いので、受け取る死亡保険金の金額は支払った保険料よりも高くなります。被相続人が相続人へとそのまま現金を贈与したり相続させる場合よりも、大幅に相続税や贈与税を節税することができます。

メリット2 相続時精算課税制度は2,500万円まで贈与税がかからない

相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円までの贈与分に贈与税がかかりません。生前贈与の対象となる財産の種類も制限はなく、不動産や現金、預貯金など何でも利用できます。また、贈与分については相続時に精算することになりますが、そのときの贈与分の評価は、贈与時の価格にもとづいて行われます。不動産を贈与した場合など、相続時までに不動産が値上がりしていると、大きく税金を節税できることになります。

メリット3 居住用不動産贈与は2,000万円まで贈与税がかからない

配偶者への居住用不動産贈与に対する贈与税控除のメリットは、なんと言っても贈与分2,000万円まで、完全に贈与税がかからなくなることです。相続時精算課税制度とは違って、相続時における精算もないため、相続税もかかりません。完全に税金を免除されます。この方法を利用すれば、配偶者が支払う相続税や贈与税を大きく減らすことができます。

メリット4 教育資金贈与は1,500万円まで贈与税がかからない

子どもや孫への教育資金贈与に対する非課税制度のメリットは、子どもや孫にまとまったお金を贈与しても、1,500万円までは贈与税が非課税になることです。もちろん相続税もかかりません。近年は教育費に多額の費用がかかることが多いので、この制度を利用して贈与税や相続税を節税する方法は非常に役に立ちます。

メリット5 住宅購入資金贈与や教育資金贈与は節税効果が高い

同じく、子や孫への住宅購入資金贈与や教育資金贈与に対する非課税制度も、子どもや孫にまとまったお金を贈与しても、贈与税を支払う必要がないという点がメリットです。住居は通常高額になるので、住宅ローンを組んだり親から資金援助してもらうことが多いですが、このときに贈与税がかからないと、大変助かります。教育費についても同様です。もちろん相続税もかからないので、節税効果が高いです。

④生前贈与の5つデメリット

生前贈与のデメリットを5つご紹介します。

デメリット1 気をつけないと節税効果が無くなる

生命保険を利用した生前贈与の場合、保険契約の方法や、掛け金の支払い方法を間違えると、節税効果が無くなるというデメリットがあります。生命保険を使って生前贈与する場合には、必ず契約者を相続人、被保険者を被相続人、死亡保険金の受取人を相続人にする必要があります。また、保険料の支払い方法は毎年支払う方式にします。一括払い方式を利用しては、節税効果が薄くなるので注意が必要です。

デメリット2 相続税が上がる可能性がある

相続時精算課税制度を利用した場合、贈与時の贈与税は非課税になりますが、相続時には贈与分も相続財産に加算して相続税を計算し、精算しなければなりません。その分相続税が上がる可能性があるデメリットがあります。

デメリット3 登記費用などの費用がかかる

配偶者への居住用不動産贈与に対する贈与税の控除制度を利用すると、登記費用などの費用がかかることは1つのデメリットになります。登録免許税が不動産の固定資産評価額の2%の金額になるのと、不動産取得税が不動産の固定資産税評価額の3%になります。さらに、同じ配偶者には一生に1度しかこの制度を利用できない点もデメリットです。

デメリット4 教育資金贈与の非課税制度は手間がかかる

教育資金贈与の非課税制度は、利用に手間がかかります。まず信託銀行と契約をしてお金を一括して信託銀行に預けなければなりませんし、子や孫は、資金を使うときにいちいち領収証などの証明書類を提示して、その分の払い戻しを受ける必要があります。また、お金の利用目的も、学校の費用などの教育資金に限られます。30歳までに贈与分を使い切ることができなければ、贈与税が課税される事になる点もデメリットです。

デメリット5 非課税制度の特例は資金の贈与に限られる

住宅資金購入費用の贈与に対する非課税制度の特例を利用できるのは、「資金の贈与」に限られます。たとえば、親が子や孫に直接不動産を贈与した場合には、非課税枠は利用できないので注意が必要です。さらに、資金の利用目的は「新築」または「住宅購入」に限られます。子や孫が既に住宅ローンを組んでいる場合にそのローンの肩代わりをしてもらっても、その支払い分については贈与税の控除はないので、注意が必要です。

6.まとめ

今回は、相続税対策方法を網羅的に解説しました。相続税対策方法にはいろいろな種類があります。生命保険を利用したもの、土地を利用したもの、マンションを利用したもの、賃貸アパートを利用したものなどがあります。生前贈与に対する各種の贈与税の控除や非課税制度を利用する方法もあります。相続税対策には、それぞれ特徴やメリット・デメリットもあります。

相続税対策にはいろいろな種類があるので、自分のケースにどの方法が最も適しているかをしっかりと見極めて上手に利用する必要があります。今回の記事を参考にして、賢く相続税対策を行いましょう。

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