相続税路線価とは|3つの調べ方と路線価図の見方を徹底解説

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相続税路線価

相続税路線価は、相続税や贈与税の計算の際の基準になる土地評価方法です。

日常生活を送っている場合でも、土地の評価が問題になることは意外とたくさんあります。

たとえば、親が亡くなって土地を相続する場合や、土地を贈与した場合の税金の計算の際には税金の金額を算出するために土地の評価額が問題になります。

土地を売却したり購入する場合などにも、その売値が適切かどうかを判断するために土地の評価を知る必要があります。

そこでこの記事では、相続税路線価についてや相続税路線価の具体的な調べ方、相続税路線価図を見る時の注意点などについてまとめました。

相続税路線価を利用すると、税金の計算だけではなく、民間でも土地の評価について争いがある場合などに解決できるので役立ちます。詳しく確認していきましょう。

もくじ

1.相続税路線価とは

相続税路線価とは、全国の市街地的な土地にある道路に面する宅地の1平方メートルあたりの評価額のことです。土地の評価額は、その路線価に土地面積(平方メートル)をかけ算することによって算出することができます。

相続税路線価

相続税路線価を利用すると、どの道路に面しているかによって、画一的に土地の評価ができ、非常に簡単です。誰が計算しても同じ結果になるので、相続税の金額が人によって異なるなどの不公平な結果が生じることもありません。

①固定資産税路線価の決まり方

相続税路線価の価格は、その年の1月1日の時点を基準にして、毎7月に発表されます。毎年改訂されるので、同じ場所の路線価でも、その年度ごとに数字が異なります。1年に1度の改定なので、同じ年に死亡した人であれば、1月に死亡した場合でも12月に死亡した場合でも、同じ相続税路線価が利用されます。

②公示価格との差

相続税路線価を決定する際には、公示価格や土地売買の際に利用される実例価額、不動産鑑定士が鑑定評価をした価額や精通者の意見による価格等をもとにして、税務署によって決定されます。

土地の評価額については、国が定める公示価格がありますが、相続税評価額はこの公示価格の8割程度の価格になるように設定されています。

③時価(実勢価格)との差

実際に土地の売買を行う際には、時価(実勢価格)が用いられますが、相続税路線価はこの場合の時価とは異なります。相続税路線価は、実際の取引で用いられる時価よりは相当安くなることが多いです。

2.相続税路線価が必要な3つの理由

日常生活を送っているときに、土地の評価を気にすることは余り多くはありません。ただ、意外といろいろな場面で土地の評価が問題になることがあります。

理由1 相続税の計算のため

たとえば両親が亡くなって、実家の土地を相続する場合などには、相続税の計算の必要があります。相続税は課税の対象になる土地の価格によって変動するので、土地の評価方法を正しく知っておく必要があるからです。

課税対象の土地の評価が高くなれば高くなるほど、課税される相続税の金額も高くなります。

相続税

では、相続が起こった場合には、具体的にどのようにして土地を評価すれば良いのでしょうか。この点、各個人がそれぞれ異なる評価方法をとると、人によって相続税の金額が異なってしまうことになるので、不公平になって不都合です。

そこで、相続税の計算のための土地評価方法は機械的で画一的である必要があります。相続税の計算の際には、相続税路線価という評価方法と利用して土地の評価をします。

理由2 贈与税などの計算のため

相続税路線価は「相続税」とは言っていますが、相続税の課税の際にしか使われないといことではありません。たとえば、贈与税などの他の税金の課税の際にも、その対象の土地の評価方法として利用されます。

贈与税

ただし、同じ税金であっても固定資産税の課税の際には相続税路線価は利用されないので注意が必要です。

理由3 遺産分割のため

相続税路線価は民間同士で土地の取引をしたり、土地の遺産分割を行う場合にも、利用することができます。たとえば、土地を購入しようかどうか迷っている場合に、相続税路線価を調べて周囲と比較すれば、その対象となる土地が周囲より評価が高めの土地なのか低めの土地なのかなどがわかります。

遺産分割

遺産分割の際には、対象となる土地の評価について意見が分かれることが多いです。たとえば、兄弟が相続をして、土地を相続する兄の方は土地価格が2000万円だと言っているけれども弟の方は3000万円であると言っている事例があります。

この場合、相続税路線価を参照して、その金額を採用して土地を評価することによって、兄弟間の争いを収めることが可能になります。

3.相続税路線価の3つの調べ方

具体的に相続税路線価の金額を調べたい場合には、どのようにすれば良いのでしょうか。相続税路線価の調べ方を解説します。

調べ方1 国税庁・全国の路線価図・評価倍率表

相続税路線価を調べたい場合、1番簡単な方法は、インターネット上で調べることです。国税庁のホームページに全国の路線価が載っているので、これを参照すると良いでしょう。

路線価図・評価倍率表

>> 国税庁のホームページへ

ただし、相続税路線価は年度によって価格が異なります。相続税路線価図を利用する場合には、自分が調べたい年度の路線価図を参照することが必要です。

調べ方2 税務署

インターネットを利用しない場合には、税務署に行って相続税路線価を調べることができます。各税務署には、その管轄区域内の相続税路線価図があります。

税務署

そこで、税務署に行って担当員に「路線価図を見せてください」を言えば、無料で閲覧することが可能です。

調べ方3 会計事務所

相続案件をよく取り扱っている会計事務所などにも、相続税路線価図が設置されていることがあります。相続税路線価を調べたい場合には、これらの方法を利用すると良いでしょう。

会計事務所

4.相続税路線価図の見方6つのステップ

相続税路線価図を調べて相続税路線価図を実際に見る場合、その見方はどのようにすれば良いのでしょうか。相続税路線価の見方を知っておく必要があります。

ステップ1 路線価図・評価倍率表を開く

国税庁のホームページ上の路線価図を開くと、年度ごとの表記がされています。そこで、自分の調べたい年度のアイコンをクリックします。今回は平成27年分を選びます。

路線価図・評価倍率表

ステップ2 都道府県を選択する

日本地図が出てくるので、自分が調べたい都道府県を選びます。ここでは例として東京を選択します。

路線価図・評価倍率表2

ステップ3 路線価図をクリックする

「路線価図」と書いてあるアイコンが出てくるのでクリックします。

路線価図・評価倍率表3

ステップ4 市区町村を選択する

選んだ都道府県ごとの市区町村が出てくるので、自分が調べたい市区町村を選びます。ここでは世田谷区を選びました。

路線価図・評価倍率表4

ステップ5 町丁名を選択する

自分が調べたい町丁名を選びます。ここでは、赤堤1「38047」を選びました。

路線価図・評価倍率表5

ステップ6 路線価図が表示される

対象となる地域の詳細な路線価図が表示されます。

路線価図・評価倍率表6

5.相続税路線価図を確認する時の4つのポイント

相続税路線価図を確認する時の4つのポイントをご紹介します。

ポイント1 年度の確認

相続税路線価を見ると、左上に対象の年度とページが書いてあります。自分が調べたい年度と合っているかどうかを確認しましょう。

路線価図・評価倍率表7

ポイント2 町名と丁目

具体的に相続税路線価図の中身を見てみると、「〇町〇丁目(下図赤〇)」や「22(下図青〇)」などの数字が書いてあります。これは、その対象となる町名と丁名、22などの数字は街区番号です。

路線価図・評価倍率表8

たとえばA町1丁目の土地で22と書いてある場所は、A町1丁目22番ということになります。このようにして、自分が探したい対象の町名と街区番号を探して、場所を特定します。

ポイント3 路線価の単位

自分が探したい場所が見つかったら、その場所の相続税路線価を見ます。相続税路線価は1,000単位で書いてあります。

路線価図・評価倍率表9

たとえば250などの数字が書かれている道路がありますが、この場合には250×1000=25万円の評価の土地だということになります。

ポイント4 借地権割合

相続税路線価には、借地権割合も書いてあります。借地権割合とは、土地を借りている場合に、その借りている権利の評価額のことです。土地を所有している権利ではなく借りている権利なので、所有権よりは評価が低くなります。

借地権の価格の評価は、所有権の価格に借地権割合をかけることによって計算します。相続税路線価図には、その借地権割合がA~Gまでの記号で書かれています。

路線価図・評価倍率表10

Aが90%で最高となっていて、だんだん下がってきてGが最低の30%となります。

たとえば、相続税路線価図に250Dと書かれている場合には、その土地の1平方メートルあたりの価格は25万円で、借地権割合は60%だということになります。

路線価図・評価倍率表11

6.相続税路線価図を見る時の4つの注意点

相続税路線価図を見るときに知っておくべき注意点について順番に見てみましょう。

注意点1 相続税路線価は毎年改定される

相続税路線価図は毎年改訂されます。よって、相続税路線価の数字はその年度によって異なります。

自分の探したい年度の路線価図を利用しないと、まったく意味の無い計算になってしまいますので、相続税路線価図を見る場合には、必ず正しい年度の分であるかどうかをチェックしなければなりません。

相続税路線価図の左上にその対象となる年度が記載してあるので、相続税路線価を調べる際には必ず確認するようにしましょう。

注意点2 相続税路線価が設定されていない場所がある

全国の土地の中には、相続税路線価が設定されていない場所があることにも注意が必要です。どこの土地でも必ずしも相続税路線価があるわけではありません。

相続税路線価の設定がない場所の場合には、評価倍率表という表に書かれた数字を用いて土地の評価をすることになります。評価倍率表とは、固定資産税評価額にいくらの数字をかけたら相続税の評価額になるかという倍率が書かれています。

路線価図・評価倍率表12

たとえば評価倍率表の数字が1.1の場合には、「土地の固定資産評価額×1.1」の数字が、その土地の相続税評価額になります。評価倍率表についても、国税庁の相続税路線価のホームページで調べることが可能です。

注意点3 奥行価格補正率

相続税路線価を用いて対象土地の評価を調べる場合、「奥行価格補正率」にも注意する必要があります。奥行価格補正率とは、一方だけが道路に面している宅地などの場合に、その宅地の奥行の距離によって評価を下げるための補正率です。

実際の奥行きの距離によって補正率が決まっており、その対象の宅地の種類などによっても奥行価格補正率の割合が異なります。奥行距離が極端に短かったり長かったりすると、その宅地の利用効率が悪くなるので、評価は低くなります。

たとえば、普通住宅宅地では奥行距離が4メートルから6メートル未満の場合の奥行距離補正率は0.92になりますが、奥行距離が12メートルから14メートルの場合には奥行距離補正率は1.0(そのままの数字。補正なしということです)となり、奥行距離が48メートルから52メートルの場合には奥行距離補正率は0.9になります。

奥行距離補正率は国税庁が定めており、これについても一覧表があります。

注意点4 側方路線価加算率

相続税路線価図を見る場合、その宅地が2つの道路に接している場合があります。この場合にもその土地の評価を補正する必要があります。

2つ以上の道路に面している場合、その土地の利便性が高くなるので通常はその土地の評価は上がります。その補正方法を具体的に見てみましょう。

ステップ1 正面路線価と側方路線価

2つの道路の路線価を比較して、高い方の路線価を正面路線価とします。低い方の路線価が側方路線価です。

ステップ2 正面路線価の価格計算

正面路線価の価格計算方法は「正面路線価×奥行価格補正率」です。これを①の数字とします。

ステップ3 側方路線価の価格計算

側方路線価の価格計算方法は、側方の路線価の価格を見て、これに奥行価格補正率をかけて、さらに側方路線価加算率をかけ算した数字です。

計算式は「側方路線価×奥行価格補正率×側方路線価加算率」です。これを②の数字とします。

ステップ4 相続税路線価の算出

この計算で算出された数字を、もともとの相続税路線価に足す必要があります。そのようにして計算された価格が、計算の基準となる相続税路線価になります。

上記の①+②の数字のことです。①+②の数字に土地面積をかけると、その土地の評価額が計算できます。

なお、側方路線価加算率はその道路の種類によって国税庁が定めています。たとえば普通住宅地区の場合には、側方路線価加算率は0.02または0.03になります。側方路線価加算率表についても、国税庁のホームページに記載があります。

>> 国税庁のホームページへ

7.相続税路線価図の計算方法と例

具体的に相続税路線価を計算する場合、どのようにすればよいのかがイメージしにくいことがあるでしょう。そこで、具体的な相続税路線価の計算方法と実例を見てみましょう。

計算例1 1つの道路にのみ面している土地

1つの道路にのみ面している土地があるとします。路線価は180、奥行が10メートル、40平方メートルの土地だとしましょう。この場合には、18万円×1(奥行補正なし)×40平方メートル=720万円の相続税評価額となります。

計算例2 1つの道路にのみ面している土地②

事例1と同じ条件ですが、奥行が40メートルの土地があるとしましょう。この場合は18万円×0.92(40メートルの場合の奥行価格補正率)×40平方メートル=662万4千円の相続税評価額となります。

計算例3 2つの道路に面している土地

土地が2つの道路に面しているとしましょう。正面道路の路線価は180、奥行10メートル、40平方メートルの土地です。側方道路の路線価は160で、側方の奥行は10メートルだとします。

この場合、側方路線価によって加算すべき価額は16万円×1.0(奥行価格補正率)×0.02=3,200円になります。よって、計算の基準になる相続税路線価は、

18万円×1.0(正面路線価の奥行価格補正率)+3,200円=183,200円

土地面積全体の評価額は、この数字に土地面積40平方メートルをかけ算すれば出せるので、(18万円+3,200円)×40平方メートル=7,328,000円になります。

8.まとめ

相続税路線価を調べたい場合には、インターネットが便利ですが、実際の土地評価を計算する場合には、土地の奥行補正率や、2つ以上の道路に接している場合の側方路線価加算なども問題になるので、正しい計算方法を理解しておくことが重要です。

ただし、相続税路線価は実際の取引で利用される実勢価格とは異なり、これより安くなることが多いので、注意しましょう。

実際の取引で利用される実勢価格(時価)は国土交通省が公表する公示価格を参考に不動産業者が提示する価格です。買い手や売り手の価値観によって値段が変わります。次のサイトで所在地を入れるだけですぐに確認が可能です。

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