
カードローンでお金を借りた際、指定された期日までにしっかりと返済しないと返済の遅延ということになります。
遅延損害金の支払いが必要になるだけでなく、3か月以上延滞してしまった場合には事故情報が信用情報機関に記録されてしまいます。「時間がかかっても返済すれば大丈夫」ということはありません。
- つい返済日を忘れていた
- 口座の残高が不足していた
など、うっかり入金するのを忘れてしまったのだとしても遅延は遅延です。
この記事では、カードローンの返済を遅延した時にすぐにすべきことや、返済を遅延すると起きる最悪のケース、遅延損害金などについてまとめました。返済を遅延してしまった時や遅延しそうな時の参考にして頂けたら幸いです。
もくじ
1.カードローンを返済できない時に今すぐすべきこと
カードローンの返済は1日でも遅れると遅延扱いとなります。カードローンの返済期日を過ぎてしまった場合、もしくは返済日にお金を返せそうにない場合は、すぐにカードローン会社に電話をして相談するようにしてください。
いつまでに入金可能なのか、すぐに払えないのであれば支払いの見込みを伝えて、いつまで待ってもらえるか相談すべきです。
返済の遅れに対して電話もしないような人よりも、電話をして相談した方がカードローン会社の印象が良くなります。返済する意思があることがわかるからです。
返済が遅延している状態で電話連絡をしていない場合、「いつまでに返済できますか」のように督促・催促のハガキや電話が来るようになります。電話がかかってくる連絡先は、申込時に記入したあなたの連絡先(携帯もしくは自宅)です。
仮にこの電話にずっと出なかったり、自分から遅延の連絡をしなかった場合は、会社に電話がかかってくる可能性が出てきます。そうなると会社に借金をしていることが知られてしまうので、すぐに対応するようにしましょう。
事前に電話を入れておけば今後の対応についても相談できますし、督促・催促も考慮してくれます。「お金を準備できるまでは利息分だけで良い」と言ってくれる場合もあるので、何はともあれまずは相談です。
2.カードローンの返済を遅延すると起きる最悪のケース
借りたお金を返すのは当然ですが、時にはどうしても返済が滞ってしまうこともあるかもしれません。しかし、その場合はもちろんペナルティが発生します。
返済を遅延したらどのようなことが起きるのか最悪のケースをお伝えします。
①遅延損害金の発生
遅延損害金とは、借りたお金を指定された期日に返済できない場合、罰金として支払う必要がある料金のことです。
日常生活でも約束を守らなかった時、何かしらお詫びをすることがあると思います。友人同士なら缶ジュース程度で済むかも知れませんが、融資の世界では1日単位で遅延損害金の利率が決まっていて、きっちり請求を受けます。
カードローン会社と契約する際、借入金額を遅延してしまった場合は遅延損害金を請求することが記載されているので、申込時に同意している以上、必ず支払わなければなりません。
カードローン会社の遅延損害金は銀行も消費者金融も大体が20.0%に設定されています。1日返済が遅れてしまうごとに遅延損害金を支払わなければならないのですぐに返済しましょう。
②借入限度額が減る
契約後に支払いの遅延や延滞があると現在の借入限度額が減ってしまう可能性があります。人によって上限は異なりますが、カードローンには借入限度額が設定されています。
返済が遅れると「返済能力がなく返済義務を守れない人」と判断されてしまうため、借入限度額を下げられてしまうことがあるので注意が必要です。
③利用停止
返済の遅延を繰り返したり、長い間返済が滞ってしまうと利用停止になる場合があります。1回遅延しただけで利用停止になることは余程のことがない限りありませんが、何度も遅延を繰り返していると利用停止になる可能性が高くなります。
返済できない人に多くのお金を貸し出すわけにはいかないので、当然の行動だと言えます。
指定金額が返済されないということは「期限の利益の喪失」条項に該当するので、カードローン会社は借主のカードをいつでも利用停止することができます。
その後の返済をしっかりとしていれば、しばらくして利用できる状態に戻ることもありますが、一度の延滞で数ヵ月から半年近く利用を止められることもあるので、カードローンありきで生活費をやり繰りしているような場合はかなり深刻な状況に陥ってしまいます。
ちなみに、その場ではカードが利用停止にならなかったとしても、カードローン会社には更新審査というものがあるので、更新審査によってカードが解約される可能性もあります。
④事故情報がつく
カードローン会社で借入を遅延してしまい、3か月以上延滞してしまった場合には、信用情報機関に事故情報が記録されることになります。(カードローン会社によっては2か月以上の延滞で事故情報が記録されてしまう場合もあり)
事故情報は返済能力がなく返済義務を守ることができない状態となっていることを表します。
カードローン会社は信用情報機関の情報を閲覧することができるので、それを見ればその人がどのような人なのかを知ることができます。
そこに事故情報があった場合は返済能力がないと判断できるので、他の銀行や消費者金融、クレジットカード会社などから新たな借入はまずできなくなってしまいます。簡単に言えば信用を失うということです。
3.大手カードローンの遅延損害金一覧
大手銀行カードローンと消費者金融の遅延損害金利率をまとめました。この中にあなたの利用しているカードローンがある場合には、遅延損害金利率がどれくらいなのか確認しておきましょう。
カードローン | 遅延損害金利率 |
---|---|
アコム | 20.0% |
プロミス | 20.0% |
アイフル | 20.0% |
SMBCモビット | 20.0% |
レイクALSA | 20.0% |
三菱UFJ銀行 | 通常借入金利と同じ |
三井住友銀行 | 19.94% |
じぶん銀行 | 18.0% |
イオン銀行 | 19.8% |
楽天銀行 | 19.9% |
みずほ銀行 | 19.9% |
4.遅延損害金の計算の仕方とシミュレーション
遅延損害金の計算の仕方は簡単です。「借入額(元金)×遅延損害金年率÷365日×延滞日数」で計算できます。
例えばあなたが10万円借りているとします。返済日から30日延滞してしまいました。契約しているカードローンの遅延損害金年率は20.0%です。上の計算式に当てはめると次のようになります。
借入額(元金)10万円×遅延損害金年率20.0%÷265日×30日=遅延損害金1,643円
遅延損害金は1日単位で加算されるので、このケースでは1日につき約54円ずつ増えていきます。できるだけ返済の遅れをなくして早めに支払うことが大切です。
また、どのくらい遅延損害金がかかるのか、それぞれのカードローン会社の借入金額が10万円、30万円、50万円で30日延滞した場合でシミュレーションしてみましたので、こちらも参考にしてみてください。
カードローン | 借入額10万円 | 借入額30万円 | 借入額50万円 |
---|---|---|---|
アコム | 1,643円 | 4,931円 | 8,219円 |
プロミス | 1,643円 | 4,931円 | 8,219円 |
アイフル | 1,643円 | 4,931円 | 8,219円 |
SMBCモビット | 1,643円 | 4,931円 | 8,219円 |
レイクALSA | 1,643円 | 4,931円 | 8,219円 |
三菱UFJ銀行 | 1,200円 | 3,600円 | 6,000円 |
三井住友銀行 | 1,638円 | 4,916円 | 8,194円 |
じぶん銀行 | 1,479円 | 4,438円 | 7,397円 |
イオン銀行 | 1,627円 | 4,882円 | 8,136円 |
楽天銀行 | 1,635円 | 4,906円 | 8,178円 |
みずほ銀行 | 1,635円 | 4,906円 | 8,178円 |
5.カードローンの遅延損害金の支払い方法
遅延損害金は基本的に利息額(返済期日内の利息と遅延損害金の合計)が毎月の最低返済額よりも少なければ、毎月の支払額以外に別途損害金を支払う必要はありません。
例えば毎月1万円を支払っていて、そのうち5,000円ずつ元金と利息にそれぞれ充てられているとします。この状態で延滞をして遅延損害金が2,000円発生したと仮定します。
すると本来であれば5,000円は元金の返済に充てられるところが、2,000円は損害金の支払いにまわってしまうので、元金充当額は5000円-2000円で3,000円となります。
つまり返済額はいつもと変わらないが、いつもより元金の返済額が少なくなるということです。
もちろん元金の返済額を減らしたくない場合はいつもの金額にプラスして遅延損害金を支払うことも可能です。その場合は合計でいくら返済すれば良いのかカードローンに確認してみてください。
6.返済できない時に絶対してはいけないこと
カードローン会社からの遅延の連絡を無視をするようなことは絶対にしないでください。ほとんどの場合、返済指定日の数日後には電話がかかってくるので、その連絡を視するのはやめましょう。
無視をしていると会社の方にも電話がかかってくることになるので、しっかりカードローン会社と相談をして借金の返済に努めるようにしましょう。
遅延が長く続いてしまうと差し押さえが行われる可能性もあります。早めにカードローン会社に連絡して相談するのが一番です。
7.どうしてもカードローンの返済ができないとき
催促のハガキや電話を受け取っても3ヶ月以上支払わないと、カードローン会社は返済してもらえる債権を債権回収会社や法律事務所に委託することがあります。
そうなるとカードローン会社に返済の相談をすることができなくなり、依頼された法律事務所とやりとりすることになります。債権回収は法律の規定に基づいて厳格に進められるので、カードローン会社からの催促よりも厳しいものとなります。
返済プランを明確に伝えて確実に入金していかなければなりません。どうしても返済ができなくなってしまった状態では月々の利息だけでも大きな金額になっています。
その場合、債務整理という方法を使えば返済が軽くなったり、免除してもらえることがあります。金利分をなくして毎月の返済額を減らせる任意整理や、裁判所に申し出て借金の減額や免除を認めてもらう民事再生や自己破産といった方法があります。
信用情報に事故情報として登録されるなどデメリットはありますが、借金の返済や取り立てが生活の大きな負担になっている場合は、債務整理をしたほうが金銭的にも精神的にもラクになるかもしれません。
借金に苦しんでいる方は、今後の人生をやり直すために一度弁護士に相談してみると良いでしょう。
8.債務整理の種類
債務整理は大きく4種類あります。
①任意整理
任意整理をするとすでに返済した分を含むすべての借金を減額することができます。借入開始時にさかのぼって金利を適正な額で計算して、払いすぎている分を残債元本から引き、今後の金利をカットし、元本のみを3年間で分割して返済していくことになるからです。
カードローン会社が利息制限法の上限金利を超えてしまっている金利を設定していた場合には、今まで支払っていた過払い分(利息分のこと)を借りた元金にあてることができ、借金額を減らすこともできます。
ただし、任意整理は任意整理後の残金を3年以内に完済でき、継続的な収入が見込める人が対象です。
任意整理を検討したい場合には弁護士や司法書士などに相談してください。依頼すれば交渉も弁護士や司法書士が行います。自分でやり方がわからなくても債務整理が可能です。
なお、闇金などからの督促も直ちに止めることが可能です。費用の相場は着手金が1社あたり3万円、成功報酬が10万円程度となっています。
②特定調停
特定調停は裁判所が関与する任意整理と言われています。任意整理では裁判所は関与しませんが、特定調停では簡易裁判所が関与します。任意整理と同じ方法で借金を減らすことができます。督促も直ちに止めることが可能です。
任意整理と異なる点は、過払い金の返還を受けられないことや手続きに必要な書類が多いことです。状況が同じ場合には任意整理を利用した方が良いです。専門家に依頼した場合の費用の相場は、債権者1社につき2〜4万円となっています。
③個人再生
個人再生を利用すれば、借主が借りたカードローン会社との間に裁判所が入ることになります。裁判所が関与すればカードローン会社からの借入に関する支払いを止めることができます。
カードローン会社からの借入を止めることができれば、借りた金額を5分の1程度まで減額することができるので、その減額した金額を3年から5年かけて分けて支払っていくことになります。
つまり、借入金額を5分の1程度にすることができ、残りの借金は免除されるということです。専門家に依頼した時の費用の相場は、着手金と成功報酬を合わせて40〜80万円となっています。
④自己破産
自己破産は借主に返済能力がなく、返済義務を守ることができないと認識された場合に、裁判所に申し立てを行うことで借金をゼロにすることができます。
ただし、実際に自己破産が認められたとしても、20万円を超える財産であれば、借入を行ったカードローン会社の返済にあてなければいけないため、自宅や車などを手放さなければなりません。
自己破産をしてしまうと生活そのものが管理されてしまいますので、本当の最終手段と言っても良いでしょう。このようなことにならないように借金の返済を行っていきましょう。
専門家に依頼した場合の費用の相場は、自己破産の場合成功報酬がなく、着手金のみで40〜60万円となっています。
なお、自己破産は裁判所に申し立てを行ったとしても認められない場合もあります。例えば自己管理能力がなく、借入た金額を浪費してしまった場合などです。
借主の借入金額や収入や資産などを総合的に調べることで最終的な決定を行われますが、認められないと借入た金額がゼロになることもありません。
また、自己破産をするにもかかわらず、嘘をついたり財産を隠したりすると、自己破産が認められなくなってしまいますので、現状について正直に話すようにしましょう。
9.カードローンの延滞と遅延の基礎知識
「支払いが延滞している」など遅延とよく似た言葉に延滞がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
①延滞と遅延の違い
金融の世界では延滞と遅延を支払いが遅れた日数によって区分しています。簡単に説明すると、延滞のほうが日数が長く、遅延はそれより短期間の遅れを指します。
延滞は返済日より2ヶ月から3ヶ月以上の長期にわたって支払いが遅れている状態です。一方、遅延は延滞よりも短期間の支払いの遅れのことです。
この使い分けは個人信用情報機関が返済の遅れをどうやって捉えているかが影響していると言われています。CIC、JICC、KSCの三大機関では事故情報に記録される目安を返済日から61日以上、または3ヶ月以上の延滞と定義しています。
銀行や消費者金融によって事故情報を登録するタイミングは違いますが、いわゆるブラックリストに載るラインは2ヶ月から3ヶ月というわけです。
これが延滞よりも短い遅延の状態では、すぐに個人信用情報機関に登録されることはありません。何度も遅延をしている場合は延滞扱いとなるケースもありますが、返済日を忘れていて数日後に振り込んだり、再引き落としに間に合いさえすれば遅延の範囲内で処理してもらえます。
②延滞になるタイミング
延滞と遅延をもっと具体的にイメージしてみましょう。もしあなたがカードローンの返済が間に合わなかった場合、銀行や消費者金融から返済のお知らせがハガキなどで届きます。
よくあるタイプは圧着式ハガキで口座再引き落としの案内が書かれていたり、コンビニや銀行の振込用紙が印刷されていて再設定された期日までに支払うよう催促されます。この段階で支払いを済ませれば遅延として扱われます。
ハガキや電話での催促があっても支払わない場合、遅延状態が続いて2ヶ月から3ヶ月が過ぎる頃には延滞扱いになってしまいます。
遅延はあくまでカードローンを契約している銀行や消費者金融の内部で情報が留まっていますが、延滞になると銀行や消費者金融は個人信用情報機関に事故案件として登録をします。つまりブラックリストの仲間入りを果たすことになります。
10.カードローンの借金の時効
時効と聞くと犯罪を犯した場合をイメージする方が多いと思いますが、実は借金にも時効があります。
銀行や消費者金融会社の借金が時効になるのは基本的に最終返済日から5年です。つまり、理論上は返済をしないまま5年経てば、借金を踏み倒すことができます。
しかし、実際に時効を成立させることはまず難しいです。なぜなら、5年間の間に時効の中断事由に該当する行為があった場合、その間時効が中断してしまうからです。
時効の中断事由にはカードローン会社側による裁判所への訴え、差し押さえなどがありますが、これらの出来事があると時効期間のカウントがストップしてしまいます。
カードローン会社はプロの金融業者なので、支払いを延滞すれば差し押さえをしてでもお金を回収しようとします。カードローン会社が延滞に対して何もせず5年も放置することはまずありません。
また、仮に5年経過したからといって自動的に時効が成立するわけではなく、時効には援用が必要です。
援用とは時効にすることを貸主側に主張することです。具体的な手続きとしてはカードローン会社に内容証明郵便などで援用通知を送るのが一般的です。時効の援用をカードローン会社側に認めてもらう必要はありませんが、援用が行われた時点でようやく時効の成立となります。
11.まとめ
返済日に毎月の返済額をきちんと返することは、当たり前でいて時に難しい場合もあります。
数日程度の遅延であれば大きな問題にはなりませんが、何週間も支払いをしないまま延滞していると、カードローンの契約が制限されたり、今後の新規契約ができなくなる可能性が高くなります。
もし事前に返済できないとわかったり、返済日を過ぎて入金し忘れていたと気づいたら、すぐにカードローン会社に相談することが大切です。
督促を無視していても利息はどんどん膨らみますし、取り立ての電話やハガキによって精神的に追い詰められていくだけです。まずはありのままの状況を伝え、対応策を話し合うのが得策です。